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髄内局所薬剤送達による脊髄悪性神経膠腫の化学療法

2020/09/29

臨床試験・治験のご案内

脊髄悪性神経膠腫に対する新しい治療方法のご紹介 -髄内局所薬剤送達による化学療法- 
塩酸ニムスチンを用いたConvection Enhanced Delivery(CED)法とテモゾロミド内服による再発脊髄神経膠腫の治療 (2012年東北大学倫理委員会承認)

脊髄悪性神経膠腫は予後不良であり、たとえばGlioblastomaの生存期間中央値は9ヶ月と1年に達しません。その理由の一つとして、手術による摘出が困難であることがあげられます。
そこで、我々は手術にかわる新しい治療方法の開発に取り組んでいます。治療をご希望される患者さんがいらっしゃいましたら、脊椎脊髄外来(毎週水曜日)へご紹介ください。Eメールでのご相談(endo@nsg.med.tohoku.ac.jp 担当医師:遠藤俊毅)にも対応いたします。
 対象は手術治療、放射線治療、そしてテモゾロミド内服治療、以上全てを行ったにもかかわらず再発、増悪をきたした脊髄悪性神経膠腫の患者さんです。治療方法は全身麻酔下カテーテル挿入 (図1) と、その後2日間の塩酸ニムスチン脊髄内局所注入(CED法)からなります。

今回治療を行った脊髄腫瘍は生検/放射線治療後に再発をきたしました(図2)。

脊髄髄内への薬剤送達(CED法)により、治療前に増大傾向を示していた腫瘍が縮小していく様子が観察され、有効性が確認されました(図3)。


1. Endo T, Fujii Y, Sugiyama SI, Zhang R, Ogita S, Funamoto K, Saito R, Tominaga T. Properties of convective delivery in spinal cord gray matter: laboratory investigation and computational simulations. J Neurosurg Spine. 2016 Feb;24(2):359-366. doi: 10.3171/2015.5.SPINE141148. Epub 2015 Oct 30. PMID: 26516661. (脊髄髄内における、CED法による薬剤送達について解析しています)

2. Ogita S, Endo T, Sugiyama S, Saito R, Inoue T, Sumiyoshi A, Nonaka H, Kawashima R, Sonoda Y, Tominaga T. Convection-enhanced delivery of a hydrophilic nitrosourea ameliorates deficits and suppresses tumor growth in experimental spinal cord glioma models. Acta Neurochir (Wien). 2017 May;159(5):939-946. doi: 10.1007/s00701-017-3123-2. Epub 2017 Feb 28. PMID: 28247160. (脊髄腫瘍モデルラットにおいて塩酸ニムスチンの抗腫瘍効果を実証しました)

3. Endo T, Inoue T, Sugiyama S, Saito R, Tominaga T. Regression of Recurrent Spinal Cord High-Grade Glioma After Convection-Enhanced Delivery of Nimustine Hydrochloride: Case Reports and Literature Review. Oper Neurosurg (Hagerstown). 2020 Apr 1;18(4):451-459. doi: 10.1093/ons/opz172. PMID: 31414134. 
(臨床例でのの塩酸ニムスチン CED治療の効果を世界で初めて、報告しました。)
 

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