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脳神経外科へようこそ!

脳神経外科とは、脳・脊髄・末梢神経およびその付属器官(血管、骨、筋肉など)を含めた神経系全般の疾患のうち、外科的治療の対象となりうるものについて診断、治療を行う分野です。脳は生命に直結し、意識・情動・記憶・運動・感覚など人間らしさを形作る根本となる器官です。脳神経外科は、その脳に手術という方法で介入します。脳・脊髄によって生じる症状はダイナミックです。手術による小さな介入が、患者さんの意識や機能を大きく変えるので、責任と同時に大きなやりがいを感じる分野でもあります。

脳血管障害や腫瘍、外傷、先天奇形など、年齢を問わず数多くの多彩な病態が脳神経外科の対象になります。内科治療が進歩する一方で、診断技術の向上や外科的治療手段の低侵襲化によって、かつて治療の対象にならなかった疾患が外科的に治療できるようになっており、脳神経外科の治療対象は増えています。

日本の脳神経外科の特徴は、手術だけではなく総合的な診断を含めて患者に関わり、必要に応じて薬物治療など非手術的治療も積極的に行っている点にあります。この総合的な診療に関わる脳外科医の存在が、日本の高い医療レベルに貢献しています。たとえば全入院の16%を占める脳卒中の専門診療は、その多くを脳神経外科医が担っています。医療の専門性が高まるに従って、複数の診療科がチームとして連携してそれぞれの専門性を活かす機会が増えていますが、脳卒中、脳腫瘍、てんかんなど横断的な連携が重要な領域において脳神経外科医は中心的な役割を担っています。

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脳神経外科の目標は手術ではなく、神経疾患の治療です。現在の脳神経外科研究の多くは、手術の安全性・精度・確実性の向上と低侵襲治療の開発に向けられています。すなわち、手術法だけではなく、各種の術中機能モニタリングや画像誘導法、機能温存を目指した新しい手術器具の開発、開頭を必要としない血管内治療技術や定位的手術、選択的な薬物導入、切除や破壊を伴わずに神経機能に介入するニューロモジュレーション技術など、多岐にわたる研究が行われています。

脳や脊髄の仕組みはまだまだ未知であり、疾患の理解も不完全です。これから多くのことが明らかになり、新しい治療法が導入されることでしょう。好奇心とやりがいを追求できる脳神経外科の分野で、いっしょに働ける日を待っています。

基礎医学修練(3年次)

脳神経外科では各専門領域について基礎研究を行なっています。特に、将来の臨床応用を視野に入れたトランスレーショナルリサーチを重視しています。

下記に1例を示しますが、実習内容については個別に相談いたします。また、希望によっては海外での実習も考慮します。

<新しい手術用治療器の開発研究>

当研究室では、神経・血管温存下に最大限の病変摘出を行う手術用治療器(パルスウォータージェットメス)の開発を行っております。外科手術において、病変を最大限摘出することは患者さんの生命予後の改善に、病変の内部や近くを走行する血管や神経を温存することは術後の患者さんの生活の質の維持につながります。パルスウォータージェットメスは、この二つの要素の両立を支援する新しい手術用医療機器として、東北大学を中心に11診療科と10以上の学術機関が連携して推進する産学連携プロジェクトとして開発を進めています。

関連施設との連携による工学実験、先端のモニタリングや低侵襲医療機器を用いた動物実験を行うとともに、学術的、産業的成果に繋げるための開発推進カンファレンスを行っております。基礎修練をはじめとして学生の見学、受け入れを行っております。手技だけでなく、トップサイエンティストを含む多くの人材との交流を介して企画力や洞察力だけでなく、いろいろな形で社会貢献を行うための機会を経験していただけるように心がけております。

臨床医学修練(5年次)

大学病院・広南病院・仙台医療センターで実習します。担当症例1例をレポート課題にしますが、それに限らず若手指導医のもとで脳神経外科診療を広く体験してみてください。

脳卒中や頭部外傷の初期診療を経験できます。手術という側面だけではなく、神経疾患の総合診療に脳神経外科医が深く関わっていることが分かります。また、積極的に手洗いをして手術に参加してみてください。頭蓋骨に囲まれた臓器にどのように接近するのか。実際の脳を見て、触れることで、脳への興味が一段と増すはずです。

高次医学修練(6年次)

実習場所は大学病院・広南病院・仙台医療センターのいずれかが基本ですが、関連病院での実習も可能です。柔軟に対応しますので、気軽に相談ください。長い実習期間を活かして、希望者は症例報告などの論文作成も指導いたします。


医学部学生による報告論文の一覧

佐藤圭亮(医学部6年)、岩崎真樹、植松貢、中里信和、冨永悌二.
脳梁離断術によりてんかん焦点が顕在化した多発結節を伴う結節性硬化症の1例.
脳神経外科 41(5):421-428, 2013

青木靖子(医学部6年)、遠藤英徳、新妻邦泰、井上敬、清水宏明、冨永悌二.
Fusion imageを用いた前脈絡叢動脈の解剖学的variationの術前評価.
脳神経外科(in press)

眞野唯(医学部6年)、清水宏明、井上敬、冨永悌二.
3テスラ頸部MRAにおける内頸動脈閉塞症例の検討-非閉塞例の存在とその診断について.
脳神経外科 36(1):51-58, 2008

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