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株式会社ユーグレナ 執行役員 研究開発担当 鈴木健吾先生講演会「ヘルスケア分野におけるSDGsの達成に向けた研究開発について~ウィズコロナに対応するユーグレナ社の研究開発事例紹介~」を開催しました

2020/08/11

講演会・学会

 722日(水)18:00-19:00、今年度第5回目の未来型医療創造卓越大学院プログラム(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門)FM  DTS融合セミナー 株式会社ユーグレナ 執行役員 研究開発担当 鈴木健吾先生の講演会をオンラインにて開催致しました。

 鈴木先生は、東京大学農学部生物システム工学専修を卒業。「世の中には生物を交えなければわからないことがたくさんある」と考え、学生時代にミドリムシと出会いました。ミドリムシで世界を変えるため、仲間とともに株式会社ユーグレナを立ち上げ、現在では、生産者であるミドリムシなどの微細藻類だけでなく分解者である菌や、それらを用いた宇宙でのサステナブルな循環環境の構築についても注目して研究を進められています。
 今回の講演では、ヘルスケア分野の
SDGs関連研究、コロナ禍における研究開発体制について、そして未来の研究開発テーマについてわかりやすくお話しいただきました。
 ユーグレナ社は、世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功し、食品などのヘルスケア事業と、医薬品、水質浄化、
CO2削減、バイオ燃料へ応用する研究開発を行っています。「人と地球を健康にする」を経営理念として掲げる大学発のベンチャー企業で、その始まりは、アジア最貧国の1であったバングラデシュ共和国を大学生時代に訪れ感じた、「栄養問題を解決したい」という想いからでした。食糧問題や環境問題は、近い将来、私たちの生活に影響しかねない喫緊の課題の一つですが、現在同社ではヘルスケア事業とエネルギー・環境事業の2つの事業を推進し、人と地球を健康にする複数の取り組みとして、バイオ燃料の実用化、ASC認証の取得、ユーグレナGENKIログラムなどを進められているということでした。
 コロナ禍における研究開発体制についての紹介では、“みんなのミドリムシプロジェクト”をご紹介いただきました。このプロジェクトは資金とミドリムシを全国から集めて、産業上使えるミドリムシを集めるプロジェクトで、単に資金だけを集めるのではなくて、ミドリムシが入っている可能性がある水で、サンプルの提供という形で研究に参加しながら、学術的にも産業的にも貢献できる点が特徴的です。今年度はコロナ禍という状況にありながら、感染のリスクを軽減しながら実施できる方法を模索し、クラウドファンディングを活用して、サンプル採取も各地の協力者にオンラインで依頼するという展開を開始しました。これまでもオンラインにて取り組まれていたプロジェクトですが、コロナ禍のこの状況下において、研究方法においての新しい取り組み方が実証された事例となったのではないでしょうか。
 講演の終盤には、
2100年までの宇宙開発のイメージについてのお話があり、宇宙で将来手に入るものとして、人工培養肉のユーグレナハンバーグの紹介や、脳機能を損なわずに人の不老不死を実現し、この先も長く研究をしていきたいという鈴木先生の研究への熱い思いについてのお話しもありました。
 講演後の質疑応答の中で、学生からの「なぜ夢のある研究を続けられるのか」という質問には、「何を自分たちの主軸に置くかの共有を熱心に行っている。信頼の構築が重要で、つたない言葉でも伝えようとする努力が大事、フィードバックをもらってブラッシュアップしていくことが大切です」という熱いメッセージをいただき、ご講演後にオンラインにも関わらず活発な質疑応答・意見交換が行われました。
 本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、学内外から企業の方を含む幅広い研究領域の
203名の方々にご参加頂きました。鈴木先生、ご講演ありがとうございました。
 

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