医療関係の方へ

脳血管障害

2013/11/09

臨床活動

脳動脈瘤
くも膜下出血の最も多い原因である脳動脈瘤は頭蓋内の太い脳血管の様々な分岐部に発生します。画像診断装置の進歩により脳ドックなどで見つかる未破裂脳動脈瘤も年々増加傾向にあります。従来、破裂率など自然歴が明らかでなかった脳動脈瘤ですが、動脈瘤の大きさなど破裂のリスクと関連する因子も明らかになりつつあります。当院では動脈瘤の発生部位に応じて破裂を予防するための脳動脈瘤クリッピング術やカテーテル治療による塞栓術を行っており、定期的経過観察も含めた選択肢について個別に相談しながら治療を行っています。

もやもや病
もやもや病は両側内頸動脈終末部周囲の脳主幹動脈が進行性に狭窄・閉塞し、付近に異常血管網の発達を認める原因不明の疾患です。小児や若年成人において脳梗塞・脳出血をきたし片麻痺・失語などの後遺症、さらには生命にもかかわることがある疾患です。脳の血流が不十分な場合は早めの血行再建術(バイパス術)の効果が知られています。稀な疾患ですが当施設では全国有数の手術症例数があり、術後脳血流評価など周術期管理法にも工夫をこらし、より安全で効果のある治療法を目指しています。

頚動脈狭窄症
高度な頸部内頚動脈狭窄症は、一過性脳虚血発作や脳梗塞の原因となり得る疾患で、本邦でも生活スタイルの欧米化により患者数が確実に増加する傾向にあります。本疾患に対する外科治療として、頚動脈内膜剥離術が欧米で行われた大規模臨床試験によって脳梗塞予防効果が示されました。一方で周術期に合併症が生じやすい病変には、侵襲の少ないカテーテル治療である頚動脈ステント留置術が行われて来ました。すでに数十年に及ぶ経験が蓄積され、治療の安全性と確実性は飛躍的に向上し、近年発表された臨床研究では頚動脈ステント留置術は頚動脈内膜剥離術に匹敵する治療成績を示しました。当科では、このようなエビデンスに基づき、背景にある基礎疾患・合併疾患を他科と協力して個別に検討しながら、定期的経過観察や内科的治療を含めた治療を行います。

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